夏のある日。喫茶サニーでマツが編み上げたセーターを見て大野夫妻が季節外れやー。と囃し立てる。

マツさん、マツさん・・・(返事せんわ)

マツは願っていたとおり、眠るようにあの世に行った。
きっとピンクのセーターも一緒だったに違いない。

マツが亡くなって3年半。
八郎がマツの仏壇に手を合わせにやってきた。

ちょっとヒゲが濃くなった八郎。

茶を飲みながら喜美子と話す。

あっという間や。

喜美子は武志への養育費について深々と礼をする。

八郎は武志との5年ぶりの再開での話を始める。たぬきそばの話。

八郎は胸が詰まってたぬきそばが食べられなかった、するとそれを察した武志は八郎に合わせるかのように
ゆっくりとそばを食べた。

ええ子に育ててくれて・・・・・と礼を言う八郎。

やめようや!と喜美子が顔を上げる。

お互い済んだ話や。

場の空気が冷たく、固くなった時、八郎が

ヘックション

とくしゃみをして、喜美子が留守電に残した話をした。
空気を和ませようとした八郎のやさしさと気配りだった。

八郎は玄関を出る。玄関を出る間際にもくしゃみをする。

ヘックション

一瞬だが、八郎と喜美子の間に笑顔があった。

川原家を後にする八郎。土間でたたずむ喜美子。

いつ走り出して八郎に声をかけるのか、と思わせる場面。

喜美子は追わなかった。

喜美子はひとり暮らしだが、武志がいた。

武志が帰ってくる。

信楽の窯業研究所で働く武志が帰ってくる日がカレンダーに印がついていた。

武志が帰ってきた。

母を見つめる眼差し、武志を見る喜美子。

唯一の家族、八郎との絆。

うちには武志がいる・・・

そいういう目に見えた。